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〜キャリア教育で子供の未来を創造する〜

平成26年度キャリア教育推進連携シンポジウム

文科省経産省厚労省合同で開催された「キャリア教育推進連携シンポジウム」に1月21日に参加した。小生がこれから立ち上げていこうと考えている「子供向けキャリア教育事業」に対しての示唆を得るためには、是非とも聞いておきたい内容だったので、昨年から参加を楽しみにしていた。基本テーマは「社会が求める資質・能力について」である。

 

まずは経産省岩井茂樹氏、文科省の伯井美徳氏からご挨拶があった。日本を成長する国へと変えていくためには、人材の育成が不可欠であるが、求められるのは変化、あるいは国際競争に対応できる能力、地域創生からの成長などの重要性が語られた。文科省では学生指導要領の改訂を進めているとのことであった。

 

次に東京工業大学学長の三島良直氏がキャリア教育アワードの審査内容の紹介をされたが、重視している点は、

  • 学校、地域社会、企業の連携
  • 地域社会における協力性、発展性、成長性

などであるとのことであった。

 

引き続き三島氏が東工大で取り組まれている大学でのキャリア教育改革について講演された。日本の産業界の力が低下し、新興国が台頭、国際競争力の低下が問題となっているが、なぜそのようなことになってきたのか。それは現在の大学生の「内向的な思考」、「平和主義」、「現状に対する満足感」などから、チャレンジ精神が低下していることが大きく影響していると考えており、それを打破するための改革を進めているとのことであった。

 

そもそも、今の学生は常に受け身であり、それは日本独特の受験システム、つまり「行きたい大学に行く」のではなく、「入れるところに入る」ことが目的になり、それは必然的に達成される。入学後は学問より就職がメインとなり、「入れる会社で、出来るだけいいところに入社」することを目的として、卒業に必要な単位をそろえる。大学に入ったのに、本当に考えなければならない目的意識が欠如している。こういったことが根底にあると考えられる。では、「学生が悪いのか?」と言えば、そうではなく、「大学が悪い」という問題意識を持って東工大では改革に取り組んでおられるとのことである。

 

実際には学生の学問への取り組み姿勢を変えるところを重視しており、まず、「科学技術は素晴らしく、世界を変えることができる」という意識で学んでいくことを軸とする。その上で、個々の学生が何に向いていて、何に向いていないのか、長所を活かす科目はどれか、将来のために必要な単位(卒業のためのではなく)は何かを考えながら履修する。こうすることで、学生がこれまでより、しっかりとした目的意識をもって学問に取り組むようになっているとのことであった。

 

問題提起として、このような改革を急に大学生になって始めるのではなく、小、中、高校生を通して、徐々に学ぶキャリア教育が必要であり、特に初等教育中等教育に携わる人たちにキャリア教育の重要性を認識して欲しいとのことであった。

 

基調講演では日本商工会議所特別顧問で資生堂の前社長(現相談役)である前田新造氏が「魅力ある人づくり~社会が必要とする人材育成のために~」のテーマで話された。

 

グローバル時代における企業が求める人材は、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、そして「チームで働く力」を兼ね備えた人であり、そういう魅力のある、主体性を持った社員を育成することに、資生堂の社長時代に取り組まれた。様々な経営資源のうち、人だけが1を2にも3にも変えることができ、最も重要な経営資源であるという位置づけである。

 

その前田氏も、教科書の授業だけではグローバル社会で生き抜く力を育むことはできず、魅力ある人を作る大きな柱はキャリア教育であるとしている。そしてそのキャリア教育は、地域、企業、学校が一体となって行われなければならない。学校を核として地域をゆるやかなネットワークで結ぶことが、街全体の底上げになると指摘されていた。「生きる力」の育成という目的を見失い、手段ばかりが先行している教育を、何を学べばいいのかという「学び方を学ぶ」機会を早い段階から創出するようなキャリア教育を行っていくべきである。

 

時代の変化はめまぐるしい中、子供の生きる力を早急に養成し、地域社会の力を借りてキャリア教育を実践することが重要として、講演を結ばれていた。

 

パネルディスカッションは「社会が求める資質・能力」という今回の基本テーマを軸に行われた。パネリストは法政大学専任講師の有田五郎氏、清川メッキ工業株式会社専務取締役の清川卓二氏、荒川区立諏訪台中学校校長の清水隆彦氏、京都産業大学准教授の松高政氏、株式会社キャリアリンク代表取締役の若江眞紀氏、モデレーターは文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導調査官の長田徹氏。ディスカッションというよりは、事前に寄せられた質問に対して、事前に選ばれたパネリストの方が答える、という形であった。

 

さまざまな意見が出されたが、共通していたポイントをまとめると以下の通り。

 

  • キャリア教育は各発達段階の単元ごとに取り組み、生きる力を育む。
  • 小、中、高、大の一貫で取り組み、連携を充実させる。
  • 企業と学校の連携。産業界が理解し、企業と学校の目的に整合性を持たせる。ねらいの共有。
  • 学校を軸にした地方創生の取り組みの一環として行う。
  • 普遍性の高い学ぶ力=学ぶ志を身につける。
  • キャリアを自分自身でデザインしていくマインド(=自ら考え、自ら動くための意欲と姿勢)を育てる。
  • 自分を律し、相手を理解し、他者と共働できる力をつける。
  • 次世代の育成は、学校、企業、地域の共通の課題。学校を地域の拠点と位置付ける。
  • キャリア教育は付け足しの教育ではなく、教育のコアに入れる。

 

このようにして見ると、三島氏や前田氏のお話にもあったように、キャリア教育が未来の人材の育成を通して日本がもう一度、国際的な競争力を持つことにつなげていく上で、地域との連携とそこでの企業の役割にしっかりと意味を持たせることが不可欠であると感じた。これから事業を考えていく上で、地域との連携をどう図っていくか、これをおろそかにしてはいけないと痛感した。

 

今回このシンポジウムに参加して、キャリア教育に取り組んでいる人や企業、団体の多さにあらためて感銘を受けたとともに、小生もその中で意味のある取り組みをしていきたいと決意を新たにすることとなり、参加した意味を大いに感じた。

 

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