education x innovation

〜キャリア教育で子供の未来を創造する〜

セミナー振り返り:「新規事業の成否を分ける知識・情報~「リサーチ思考」で構想を飛躍させる~」

月刊誌「事業構想」を読んだり、FBでフォローしたりとかねてから興味のあった事業構想大学院大学のオープンセミナーが催されていたのだが、テーマ的に聴いてみたかったものが、ちょうど「平成26年度キャリア教育推進連携シンポジウム」の前日。日帰り予定を前泊に変更して、1月20日に参加した。

 

内容は「多様なアイデアや気づきを得ても、それを実現させ成功させるに至るのは稀である。独自性を持ちながらも持続性のある事業に膨らませるには、事業を飛躍させる知識や情報を以下に得ていくのかが鍵になる。質の高い知識や情報の効率的な収集方法に考察していく。」というもの。これから事業を立ち上げようとしている小生にとっては、まさに聴きたい話。ワクワクしながら乗り込んだ。

学校は東京メトロ銀座線の表参道駅から徒歩1分。東京に住んでいたら通ってみることを検討するうちの一校になっていたかもしれない、などと思いながら到着。想像よりはこぢんまりとしていたが、真ん中に吹き抜けのオープンテラスがあったりして、想像力を膨らませてくれそうな造り。参加者は40名ほどと、なかなか盛況。年齢的にはおそらく40代がボリュームゾーンといったところで、割と高めだった。

学校のプロモーションが5分ほどあったのち、セミナースタート。講師の小塩准教授は参加者より(少なくとも小生より)若い感じで、人数も多かったこともあり「皆さんの圧を感じます」からセミナーは始まった。

 

事業構想のアイデアを起点とし、情報収集・整理、仮説の検証、思考実験、実験を通してブラッシュアップし育てていく、というのが「創造的リサーチ思考」のプロセス。このプロセスの始まりである事業構想のアイデア、つまり「テーマの選択」から始まり、一連のプロセスにおける手法についての話だったが、言葉は違うものの、プロセスフローはまさに「クリティカル・シンキング」と同じであった。つまり「テーマの選択」=「イシューの特定」から始まり、モデルでは情報収集が次のステップだったが、情報に埋もれないためにまず仮説(ここでは「アウトプットをイメージする」という言い方であった)から、というのは同じである。仮説を検証するための情報収集を行い、整理し、仮説を検証、仮説を進化=事業イデアを進化させ、成功への確実性を上げていく。クリティカル・シンキング、あるいはロジカル・シンキングを学んだことのある人なら、おおよそ想像できる流れである。

さて、これでは以前に学んだことの別角度からの復習になってしまうが、そうではなかった。いくつか今すぐ実践するべきこともあり、ここでまとめておきたい。

 

テーマの選択

ここで言うテーマは当然「事業イデア」であるが、一つの考え方として「バックキャスティング」ということを話されていた。つまり「フォーキャスティング」は現在の延長線上に想定される未来を考えるものであるが、「バックキャスティング」は望ましい未来の姿から、現在に戻ってくるイメージ。現在という前提(制約)を持った状態で未来を想定するのとは異なり、未来のあるべき姿(おそらく遠い未来がいいのだろう)から現在に戻ってくる過程の中で、達成すべき未来がその経過の一つとして見えてくる。それらがテーマとなり得る、ということである。どちらがいいということではなく、そういう手法もあるということで捉えている。

その「未来のあるべき姿」を考えるアプローチが、小生には新鮮だった。それは社会課題からアプローチするのであるが、その社会課題の発見法である。当然、本やニュース、Web、テレビなど一般的なマスコミ媒体があるが、それ以外の(基本ネットを使うが)媒体の紹介があった。

- 白書を見る: ~白書と言われるものは情報・データの宝庫である。

- NPOを見る: 基本、NPOは社会課題を解決するために立ち上げられたものであり、どのようなNPOがあるのかを見ることで社会課題が見えてくる。(https://www.NPO-homepage.go.jp/portalsite.html

- 研究者の活動を見る: 現在どのような研究がおこなわれているのかを見る事でも課題は見えてくる。(J-GLOBAL、アスタミューゼ)

- Inclusive Design: Universal Designと考え方は近いが、もう少し広い。ポイントは正規分布のmajorityを見るのではなく、極端なユーザー(正規分布の両端)を見ることで潜在的なニーズを探ることである。

 

情報収集

テーマの選択でもあった「バックキャスティング」は一つの手法であるが、つまりはアウトプットをしっかりとイメージして(仮説を立てて)情報収集することが重要である。また、テーマの選択でも挙げた社会課題を発見するためのソースは情報のソースにもなりうる。

情報には一次情報と二次情報があるが、二次情報においては官公庁の統計調査や、新聞社のデータベース、民間の調査データは豊富であり、活用しない手はない。特に官公庁の統計調査は質が高く、使い方を誤らなければ非常に良い情報ソースである。もちろんアウトプットをイメージして情報を収集しないと、情報に溺れてしまう。ソースとしてはE-CAST、日経テレコンGoogle Trendが身近なものとして挙げられていた。Google Trendは使いようによってはクリティカルな情報ソースになりそうである。

一次情報の取り方も話があったが、インタビューやアンケートなど、既知の手法の他に「エスノグラフィ」(日本語で「民族誌」)というものの紹介もあった。

もう一つの重要なソースとして「人脈」に言及されたが、ただ近しい友達を多く持っても意味はなく、バックグラウンドの異なった、多様な人たちと交流を持つことが本当の意味での「人脈」であるということであり、積極的に外部の人たちと出会いを作ることは大いに意味がある。同じことはクリステンセンも言っている。

アンケートでは意識的にPLC(Product Life Cycle)におけるInnovatorやEarly Adopterを抽出して意見を聞くことは、無作為に抽出した人(つまりPLCにおけるすべてのプレイヤー)からのアンケートより意味がある場合もある。例えばスマホ導入時に、無作為に抽出した人たちの意見と、InnovatorやEarly Adopterのみからの意見では間違いなく差が見られたであろう。

 

仮説

仮説の立て方には帰納法演繹法があるがアブダクション(推論の第3形態)というもの(初耳であった)も活用すべきであるとのことであった。紹介された例がわかりやすいが、

- 陸地の内側に魚の化石が発見された

- 陸地で発見されたことは意外であるが、ここが海であれば当たり前である

- 従って、昔はここが海であった考える理由(魚の化石)が存在する → 仮説

この仮説から学ぶべきことは「ある特殊な事実に遭遇した時に、自分が持っている枠組みにあてはまらないから排除するのではなく、新しい枠組みを創造する」ということである。

 

実験

リーンスタートアップアジャイル開発が実験の手法として挙げられたが、それよりも重要なポイントは、実験は「検証」を行うものであるとともに、結果から「学習」することである。科学者(小生も元科学者)にとって、実験における失敗は失敗ではなく、仮説が間違っていることを証明したデータとして捉える。成功も失敗を同じ意味を持つデータであり、確実性を上げるためのものである。エジソンを思い出せばわかりやすい。

 

以上、こうまとめてみるとやはりクリティカル・シンキングと基本は同じであることが再認識でき、つまりは「新規事業」は企業にとって「イシュー」であるということがわかった。その中で現在、小生がやろうとしている事業に足りないのは情報収集のようである。もう一度、クリティカル・シンキング的に仮説から熟考し、進化させ、確実性を上げていきたい。その為には一人ではなく、やはりパートナーとなるべき人材と共に、脳に汗して考えていかなければならない。

 

*******************************************

 

キャリア教育で子供の未来を創造する事業パートナー募集中です!


キャリア教育で子供の未来を創造する事業パートナー募集! - education x innovation